【症例】コンピューターシミュレーションによる、安心・安全なインプラント治療｜港南台の歯医者 港南台パーク歯科クリニック

治療前の状態・主訴

患者様は60代男性で、『前歯の差し歯がグラグラする』と来院されました。

患者様のお口の中には、上下とも奥歯に部分入れ歯が入っており、奥歯は噛む力をしっかり支えられる状態ではありませんでした。そのため、噛む力が前歯に直接かかってしまい、前歯の差し歯の根が折れてしいました。
（写真の黄色い矢印の部位）

治療詳細

①カウンセリング

まずは、患者様のお口の状態について、十分な時間をとって、詳しく説明させていただきました。

今回のポイントは『なぜ前歯が割れてしまったか』です。奥歯でしっかり噛むことができないため、前歯に余計な力がかかって歯根破折（歯の根が割れること）を起こし、抜歯をしなければならない状況でした。

従って、まずは奥歯でしっかり噛める状態を作ることが、前歯を守ることにつながるという点を理解していただきました。部分入れ歯は決して悪い治療ではありませんが、天然歯やインプラントと比較すると、力の負担という面では圧倒的に不利です。今回のケースも、部分入れ歯を使い続けることで、今後も他の部位の歯根破折が起きることが容易に想像できました。

患者様と相談した結果、今回は『インプラントを用いて奥歯の噛み合わせをしっかり確保し、前歯を守る』治療方針としました。

②コンピューターによるシミュレーション

今回は、外科的な侵襲をできるだけ避け、より簡単でリスクの少ない治療を行うため、骨がある部位に正確にインプラントを埋入できる、「ガイデッドサージェリー」という方法で治療を行うことにしました。

ガイデッドサージェリーとは、歯科用CTで撮影したデータをもとに専用ソフトでシミュレーションを行い、インプラントを正確な位置に埋めるための器具（サージカルガイド）を作成して、計画通りの位置にインプラントを埋め込んでいく方法です。

まずは、コンピューター上で手術計画を行います。こちらが、歯科用CTで撮影したデータを取り込み、治療のシミュレーションをした画像です。

そして、計画通りにインプラント埋入を行うための器具、サージカルガイドを作成しました。

この装置を装着して手術を行うことで、インプラントを正確な位置に埋入することができます。

③インプラント手術

部分麻酔を用いて、ガイデッドサージェリーを行いました。

患者様の身体的・精神的な苦痛を減らすため、手術は上下の歯で別日に分けて行いました。上の歯は1時間30分ほど、下の歯は1時間ほどの手術時間で、処置は終了しました。

術後は少々腫れと痛みが出ましたが、お薬で問題なくコントロールできる範囲でした。シミュレーション通りにインプラント手術が行われた様子が、以下の写真で分かると思います。

④仮歯の装着

術後３ヶ月ほど経過したところで仮歯を装着し、見た目や噛み合わせの問題がないことを十分確認しました。

⑤最終的な被せ物の装着

最終的な被せ物の材料はジルコニアという、現在使われている歯科材料の中で最も汚れがつきにくく、管理しやすいものをセレクトしました。インプラントをより長く快適に使用するためには、毎日のお口のセルフケアが非常に重要です。担当歯科衛生士より、ケアの方法を念入りに指導させていただきました。

■ガイデッドサージェリーの利点

1．シミュレーション通りにインプラントを埋入できるので、手術がより安全で正確になる。特に、骨の量が少ないなどの難しいケースでメリットがある。

2．手術時間を短縮できる。サージカルステントに従ってドリルをするので、埋入位置にあまり悩む必要がなく、手術が簡素化できる。

3．状態によっては歯茎を大きく切開する必要がないため、術後の腫れや痛みを軽減できる。

治療後の様子

治療後は『今まで使っていた入れ歯とは比べ物にならないほど、何でも噛めて違和感も少ない。もっと早くインプラント治療を受けていれば良かった』という、大変嬉しい言葉をくださり、治療に大変ご満足いただけています。