2022/09/15
, 歯のクリーニング・予防, 歯科の知識
こんにちは、港南台パーク歯科クリニックです。
先日、政府が「国民皆歯科健診」の導入を検討しているというニュースがありました。これは全国民に毎年の歯科健診を義務づけることで、口腔内の健康を保って全身の健康維持を図り、健康寿命を延ばし、医療費の抑制にも期待するという狙いがあるようです。
しかし、今まで歯科検診をあまり受けてこなかった方は、その効果にピンとこないかもしれません。中には、「歯医者には、治療が全部終わったら行かなくていいんじゃない?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、歯科検診の重要性についてお話しします。
みなさんは、子どもの頃から毎日の生活習慣のひとつとして歯磨きをしてきたと思いますが、そもそも歯磨きは、何のためにしているのでしょうか?
それは、細菌の塊である歯垢(プラーク)を落とすためです。
プラークとは、食べカスではなく口腔内の細菌や代謝物の塊で、ネバネバしているのが特徴です。口腔内の2大疾患である「むし歯」や「歯周病」は細菌による感染症ですが、これらを引き起こすむし歯菌や歯周病菌も、生きた状態で塊になってプラークに潜んでいます。
そのため、口腔内にプラークが残っていると、むし歯や歯周病が進行する大きな原因となります。
プラークは「バイオフィルム」という膜で守られているため、うがい程度では洗い落とすことができません。例えるなら、キッチンの排水溝のぬめり汚れのようなもの。水洗いだけでは、あのぬめりは落とせませんよね。実はこれもバイオフィルムの一種です。
歯の表面に付着したプラークは、排水溝のぬめり汚れを落とすときと同様に、歯ブラシでゴシゴシ磨くことでしか、きれいに落とせません。その上、口腔内は鏡で見えにくかったり、歯ブラシやフロスが届かない部分もあったりするので、隅々までしっかり磨くことは難しいです。このような、自分では落としきれない汚れを確認・除去して口腔内をきれいにし、歯や歯ぐきなどの状態をチェックすることが、歯科定期検診の主な目的です。
むし歯は、初期の段階では痛みを感じないことがほとんどです。歯周病も自覚症状が出る頃にはかなり進行していることが多く、末期だと歯を抜かなければいけないこともあります。
しかし定期的に歯科検診を受けていれば、口腔内の変化が分かりやすいため、以前の結果と比べることで悪化しているか判定できます。
悪化している場合は、その原因がセルフケア(歯磨きの仕方)なのか、食生活なのか、生活環境の変化なのか、患者さんと一緒に考えることができます。原因が分かれば、改善することにより経過観察で済んだり、簡単な治療で済んだりもします。
同じ歯に何度も治療を行うと、その歯の寿命はどんどん短くなります。むし歯や歯周病で失った歯や骨は、元に戻ることはありません。そのため、むし歯や歯周病を早期発見・治療・管理していくことがとても重要です。
むし歯や歯周病を予防することは、歯を守るだけでなく、全身の健康を守ることにつながっています。健康に欠かせない食事を摂るのは、口からです。つまり「健康な体を作るのは口から」とも言えます。
近年では、口腔内の病気が全身の病気と深い関係にあることがわかっており、むし歯や歯周病は”単なるの歯の病気”ではないとも言われています。歯周病菌が血管に侵入すると、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まります。また、歯を失うと咀嚼機能が低下し、食事や発音に支障が出るだけでなく脳への刺激も低下するため、認知症のリスクも高まると言われています。
口腔内の病気は運動機能や社会性、精神面も低下させ、全身の健康をおびやかすことにつながります。逆に言うと、歯が健康であるからこそ、全身のさまざまな病気のリスクを回避できるのです。美味しく楽しく食事をし、円滑に会話をするためには、歯の健康が必要不可欠です。
歯の定期検診を受けている方は、そうでない方に比べて平均残存歯数が多く、70代では10本近い差があるという報告もあります。さらに、自身の歯が多く残っている人ほど、健康寿命が長いことが報告されています。
先ほどお話ししたとおり、歯の健康と全身の健康は関係が深いため、歯の健康を保つことはイコール「全身の健康を保つこと」とも言えます。
とは言え「気になるところや痛いところがないのに、わざわざお金をかけて受診するなんて…」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし歯の定期検診を受けている方は、受けていない方に比べて、65歳までの総治療費の負担が6割程度で済むとも言われています。
また多くの場合、むし歯や歯周病は症状が進行すればするほど高度な治療が必要となり、治療費も時間もかかりますし、痛みを伴う可能性も高くなります。歯を失ってしまえば治療費もさらに高額になる可能性が高く、全身の健康への悪影響も無視できません。
歯の定期検診を受けておけば、万が一のトラブルも早期に発見できて、治療が最低限で済む上に、歯や全身の健康を守ることができます。むし歯や歯周病になってから歯科医院へ通って治療するより、先に予防することで結果的に医療費が安く済むというメリットもあるのです。
歯の定期検診を受けると、口腔内の健康に対する意識が自然と向上します。正しい歯磨きの指導を受けたり、クリーニングで口腔内がスッキリする感覚を味わったりすることで、毎日の歯磨きがより丁寧になり、きれいな状態を維持するために食生活や生活習慣に気を遣うようになるかもしれません。そうした意識改善こそが、歯や全身の健康を保つ秘訣なのです。
歯の定期検診は“将来のお口と体の健康に対する投資”とも言えます。
厚生労働省が推奨している歯科定期検診の頻度は、3~4ヶ月に1度です。港南台パーク歯科クリニックでも、患者様それぞれのリスクに応じたペースで歯科定期健診をご案内しております。初めて歯の定期検診を受ける方は、まず3~6ヶ月ごとの受診を習慣にしてみましょう。
港南台パーク歯科クリニックでは、担当医・担当歯科衛生士制をとっており、患者様1人ひとりのリスクを調べた上で予防プログラムを組んでいます。歯の定期検診・クリーニングでのご来院を、スタッフ一同お待ちしております。
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