2022/08/27
, 噛み合わせ・マウスピース, その他
治療内容
くさび状欠損(知覚過敏)の治療期間
短期間治療回数
数回費用
保険適応治療のため数千円
患者様は50代の男性で、『冷たい物を飲んだり食べたりすると右下の歯が浸みる』という知覚過敏の症状を訴えていました。
右下の奥歯(矢印の部位)の歯の根元が、他と比べてくさび状にえぐれているのがわかると思います。
このような病気を『くさび状欠損(通称:Wedge Shaped Defect)』と呼びます。
歯と歯茎の間に現れる欠損であり、見た目がくさび状にえぐれているため、このように呼ばれています。
歯と歯茎の境目は、歯で最も硬いエナメル質という層が他に比べて薄く、また象牙質という柔らかい層のちょうど境界線になるため、刺激に弱い部分になります。
ここに食いしばりによる異常な咬合圧や、強いブラッシング圧などの刺激が長い間加わると、歯と歯茎の境がくさび状に削れてくさび状欠損を発症してしまいます。
くさび状欠損では歯が薄くなっているため、象牙質知覚過敏などのしみる症状や物が詰まって虫歯になりやすくなったりします。
まずは適切な方法でのブラッシング(歯磨き)指導を行います。過度なブラッシングはくさび状欠損の再発や更なる進行が起こってしまうため、適切なブラッシング方法を取得してもらうためです。
欠損の状態が写真のようにひどい場合、表面を薬液で処理し合成樹脂(通称:コンポジットレジン)で埋めることで欠損を修復します。充填することで劇的に知覚過敏の症状が改善することが多いです。
また食いしばりや歯ぎしりにより発症していると考えられる場合は、夜間のナイトガード(マウスピース)装着により歯を守るようにします。
処置後は知覚過敏の症状が消失し、歯の見た目も良くなりました。
・予後を完全に保証するものではありません。
・治療終了後に知覚過敏症状が完全に治らない場合もあります。
・食いしばりやブラッシング圧が強い場合は合成樹脂が削れたり外れたりし、再発する場合があります。
<歯と歯茎の間が削れていると、知覚過敏や虫歯につながります>
今回の症例ではかなり重度のくさび状欠損について紹介させていただきました。
くさび状欠損の基本的な対策として、ブラッシング圧が強ければ普段より少し弱めに磨くことを心がけましょう。ゴシゴシ磨くのではなく、シャカシャカ磨くことを意識することで、毛先が強くしなって異常な圧がかかることを防ぐことができます。また硬い歯ブラシであれば少し柔らかめに変更するのも良いと思います。
歯の食いしばりが主な原因である場合は、夜寝る時に装着するナイトガード(マウスピース)を作成することで対策できます。ナイトガードは上下の歯に加わる圧力を軽減することができ、再発・進行を防止することができることが多いです。
知覚過敏の症状をお持ちの方はご自身の歯を鏡でよく見ていただくと、小さくこのようなくさび状欠損が見られることが非常に多いです。小さな欠損でも知覚過敏が起こっているケースが多々あります。
また、全くしみないけれど、くさび状に歯がえぐれているという患者様も大勢いらっしゃいます。知覚過敏がなくても、えぐれている部位は柔らかく虫歯になりやすい状態です。そのままにすると浸みる症状を後々発症することもあるため、可能であれば合成樹脂(コンポジットレジン)で修復することをおすすめします。
誰でも簡単に見つけられる異常のため、もしご家族の方でこのような異常があれば、お気軽に港南台パーク歯科クリニックまでご相談ください。スタッフ一同、ご来院をお待ちしております。
港南台パーク歯科クリニック 歯科医師 小泉富士雄
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