2022/08/16
, 歯科の知識
皆さんは、歯の構造がどうなっているか想像したことはありますか?
口腔内はさまざまな組織で構成されていますが、歯は、歯冠(しかん)部と歯根(しこん)部の2つに大きく分けられます。
歯冠部は歯茎から出ている部分で、歯根部は歯茎の中に隠れている歯の根っこの部分を指します。歯冠部と歯根部にはそれぞれ特徴があり、細かい組織でできています。
歯冠部は、外側から「エナメル質」「象牙質」「歯髄」と3層構造でできています。
◆エナメル質
簡単にいうと“歯の表面”です。普段私たちが見ているのは、歯のエナメル質の部分ということになります。体の中で最も硬い組織で、骨よりも硬いとされています。鉱物の硬さを表す「モース硬度」において、ダイヤモンドは最大硬度の10ですが、エナメル質は水晶と同じ7〜6だと言われています。
歯の中を、お口の中のいろいろな刺激から守る役目があります。
エナメル質は虫歯に対して抵抗性があり、虫歯になっても痛みを感じない部分です。いつの間にか虫歯が進行していることがあるので、虫歯の初期症状に気づいたら早めに治療を受けましょう。
◆象牙質(ぞうげしつ)
エナメル質の内側にあり、エナメル質を支えている重要な役割をしています。エナメル質よりも柔らかく、骨に近い硬さをもっています。先ほど、エナメル質のモース硬度は7〜6とお話ししましたが、象牙質は6〜5に相当します。
歯の神経は象牙質の内部にあるので、象牙質が露出してしまうと、冷たいものや甘いものがしみたり、歯磨きをするとピリっと感じたりすることがあります。そのため、虫歯が象牙質部分まで進んでしまうと、痛みを感じるようになります。
◆歯髄(しずい)
歯の一番中心の部分にある、いわゆる“歯の神経”です。歯の痛みは、主に歯髄から生じています。虫歯で夜も寝られないほど強い痛みがある場合は、歯の神経が虫歯菌に感染して炎症を起こしている可能性が高いです。
歯髄はとても大切な組織なので、歯の治療で歯髄を取ってしまうと大きなデメリットが生じます。
①歯の寿命が短くなる
歯の神経を抜くと、歯に栄養を送る“血管”までなくなります。そのため、歯の組織に十分な栄養が届かなくなって脆くなり、歯の寿命が短くなります。
②歯が変色する
歯の神経を抜くと、血液中の鉄分が変色します。その変色した鉄分が透けて、歯の色が暗く見えてしまいます。
③虫歯の進行、再発に気付きにくい
歯の神経を抜くと、歯がしみるような感覚や痛みがなくなります。それに気付かないと、知らぬ間に虫歯が進行したり、再発したりする恐れがあります。
このようなデメリットがあるため、まだ神経がある歯は、神経を取らずに残していくことが大切です。港南台パーク歯科クリニックでは、状態の悪い歯でも極力神経を残す治療を心がけております。
しかしまずは、神経のある歯もない歯も、これから虫歯にならないように気をつけていきましょう!
歯を支えている歯根部には「歯肉」「歯槽骨」「セメント質」「歯根膜」の4つの組織があります。
◆歯肉(しにく)
一般的に「歯ぐき」と呼ばれる部分です。健康な歯肉はピンク色や淡い赤い色をしています。磨き残しがあると、歯肉が腫れて出血したりします。
◆歯槽骨(しそうこつ)
歯を支える顎の骨です。歯周病が進行すると骨が溶けて、酷くなると歯がグラグラ動いたりします。
(「歯周疾患の症状・原因・進行|e-ヘルスネット|厚生労働省」より)
◆セメント質
歯根の表面を覆っている柔らかい組織です。歯周病などで歯肉が下がるとセメント質が露出し、虫歯になりやすくなるので注意が必要です。
◆歯根膜(しこんまく)
歯槽骨とセメント質をつなぐ薄い膜で、「シャーピー繊維」と呼ばれる強い繊維で結ばれています。「硬い」「軟らかい」などの咬みごたえを感じ、咬むときに歯や歯槽骨にかかる力を和らげる“クッション”のような役割があります。「咬むと痛い」など、 虫歯とは違う痛みを感じる部分です。
歯の植立と下あご骨構造
(「歯と歯肉の構造|お口の仕組みと働き|テーマパーク8020」より)
このように、歯の組織にはそれぞれ役割があり、どれも大切なものです。
初期の虫歯や歯周病などは痛みを感じないため、気づかない間に進行しているケースがあります。痛みや違和感が出る前に、歯科医院を受診することをおすすめします。
港南台パーク歯科クリニックでは、虫歯や歯周病を未然に防ぐための歯のクリーニング、ブラッシング指導を行っています。担当医・担当歯科衛生士が、皆様のお口を丁寧にケアしています。
ぜひ歯に関する正しい知識を持って、お口の健康を一緒に守っていきましょう!
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