2022/05/21
歯科医院で行う保健指導では、虫歯予防に関する口腔清掃指導の他に「食育」が挙げられます。子どものうちから“健康に噛める”口腔を育てていくことはとても重要です。
虫歯はほとんどないけれど、上手に食べられなかったり、噛めないために食への意欲を失ったり、あるいは好き嫌いがあったりという子どももいるようです。
「健康に噛める」「食事ができる」「適切な食べ物の選択ができる」ようになるためには、早い時期、すなわち歯が萌出する乳児期から取り組む必要があるともいわれています。
不適切な対応により咀嚼(そしゃく)習慣がうまく獲得されないと、「食べ物を丸飲みする」「口の中にいつまでも溜める」などの間違った食べ方を覚えてしまいます。そうすると食べ方の問題を引き起こしやすく、窒息のリスクが生じたり、食事に対する満足度も低くなってしまいます。
健康な口腔生育を妨げる要因として、以下が挙げられます。
①全身的要因
全身疾患、先天異常、発達障害による口腔の形態異常・機能障害
②歯科的要因
重度の虫歯、多数歯の早期喪失などによる咀嚼機能不全、口腔習癖による歯列・咬合の不正、舌小帯の異常、歯の数・形態・萌出時期の異常、歯・口の外傷など
③環境的要因
不規則な生活リズム、外遊びの不足、食事の強要、口腔機能に合わない食形態、急かされた食事、孤食、不適切な食具、食事時の姿勢、食事介助など
口腔成育を阻害する要因にいち早く気付くためにも、歯科医院での検診はとても重要であることが分かります。
離乳食の期間は、成人とほぼ同じ食べ物を食べるのに必要な機能を身につけるための食事の時期で、離乳食開始から完了まで、目安の時期があります。
・離乳初期(5-6ヶ月 ごっくん期)
・離乳中期(7-8ヶ月 もぐもぐ期)
・離乳後期(9-11ヶ月 かみかみ期)
・離乳完了期(12-18ヶ月 ぱくぱく期)
離乳の段階で、乳児の口の動きは「吸う」ことから「噛む」ことに移行します。乳歯が生え始め、顎や唇・舌・顎の動きが成長することで、離乳食を「舌で押しつぶす」ことや「歯肉でつぶす」ことを覚えていきます。
離乳食の時期は、食べ物を口に取り込む・食べ物を潰して唾液と混ぜる・食べ物を飲み込むという機能をゆっくり時間をかけて学習してできるようになるための大切な期間になります。
一般的によく見られる“離乳食の与え方”について書かれたものの他に、離乳食を与えるときのポイントがあります。離乳食の正しい与え方は以下の順序の通りです。
■離乳食を与えるときのスプーンのポイント
①スプーンを下唇にあててツンツンする
②口が開いたら下唇の上にスプーンを置く
③上唇が閉じるまで待つ
④スプーンを水平に引き抜く
スプーンの先に少量だけ離乳食を盛り、口の中に入れてあげましょう。口から離乳食が出てきたら、すくい取って再度①~④のステップで口に入れてあげましょう。
そして、食べ物を子どもの唇でしっかり口の中に運べているか確認しましょう。
注意することとして、以下が挙げられます。
・スプーンを口の奥に入れないこと(舌を使って食べる練習ができなかったり、噛まなくても飲み込めるので丸飲みになってしまうため)
・上あごにこすりつけないこと(自分の唇を使って取り込む練習ができないため)
食事は“自ら食べる”という子どもの気持ちが大切で、そのための機能を育てなければいけません。
子どもの姿勢を見直すことは、“食の発達”にもつながります。
・前かがみになりすぎている
・椅子の背もたれが大きく倒れている
・テーブルが高すぎる
・足がブラブラしている
このようなことはありませんか?
前かがみになりすぎるなどが原因で背筋が伸びないと、顔が下を向いた姿勢になります。そうなるとうまく顎の筋肉を使えないため、奥歯でしっかりと噛むことができません。かき込むような食べ方になり、誤嚥をまねきやすくなります。
また、足がブラブラしていると、顎や舌に力を入れにくいため、うまく食べ物を押しつぶせず、食べにくくなります。
いずれの場合も、うまく食べられないと食事に集中しにくくなり、椅子から立ち上がってしまったり、遊び食べを始めやすいと考えられます。食事に不便さを感じる状況が続くことで、次第に食事に興味が持てなくなってしまうことも心配です。
食事に集中でき、顎の筋力全体を使って上手に噛むことができるよう、早めに正しい姿勢に改善しましょう。
口腔成育を阻害する要因として、口腔習癖による歯列・咬合の不正も挙げられます。港南台パーク歯科クリニックでは月に一度、専門医による歯科矯正相談を受け付けております。
歯並びや、歯の問題でお悩みがございましたら、ぜひご相談ください。できるだけ早く発見し、治療計画を立てていきましょう。ご来院をお待ちしております。
港南台パーク歯科クリニック 歯科衛生士一同
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