2022/04/20
, 歯のクリーニング・予防, 歯科の知識
皆さんは、タバコを吸うと口腔内にどんな害があるかご存知ですか?
喫煙をしていると歯にヤニがつく、口臭の原因になる、歯周病を悪化させるなどの悪影響があります。歯医者さんで、喫煙はお口の健康に悪いと言われたことがある人は多いのではないでしょうか。
喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかりやすく、重症化しやすいことが分かっています。また喫煙者は歯周病の治療効果が低く、治療後の傷も治りにくいです。禁煙することによって、歯周病になるリスクが下がり、さらに歯周病の治療効果が上がることも期待されます。
とあるデータによると、歯周病にかかる危険は1日10本以上喫煙すると5.4倍、10年以上喫煙していると4.3倍にもなると言われております。
では、なぜそもそもタバコがお口の健康に悪いと言われるのでしょうか?
タバコの煙には数千もの化学物質が含まれ、そのうち発癌性物質などの有害物質は200~300種類含まれていると言われています。
その中でもタバコの三大有害物質である「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」と呼ばれる成分が、口腔内にどのような影響を及ぼすのかをお話しします。
◆ニコチン
ニコチンはタバコへの依存性を高める物質です。吸うとリラックスする効果があり、禁煙しようと思っていてもなかなかやめられないのはこれが原因です。
ニコチンには血管を収縮させる作用があるので、栄養素・酸素・血液が流れにくくなり、歯ぐきが黒ずむことがあります。また、歯ぐきからの出血が起こりにくくなるため、歯周病になっていることに気づかないことが多くなります。
歯肉炎や歯周病にかかっていることに気づかず、口腔内のケアも十分できていないと、歯周病は進行し最終的には歯周病菌が骨に到達して骨が溶かされ、重度の歯周病になり歯を失うことになってしまいます。
さらに、唾液の分泌量を抑える作用もあるため、口腔内が乾燥してしまいます。乾燥すると細菌が増殖し、口臭の原因になったり、プラーク(歯垢)や歯石が付きやすくなってしまいます。
◆タール
タールはいわゆる「ヤニ」のことで、発がん性物質が多量に含まれています。 ヤニは歯の表面に茶色くべったりくっつき、その正体は汚れの塊です。
ヤニは粒子状なので歯にくっつくと歯がザラザラになります。プラーク(歯垢)はツルツルな歯よりザラザラの歯の方がくっつきやすいので、ヤニはプラークがくっつきやすい状態をつくります。プラークが付着すると虫歯や歯周病・口臭のリスクが高くなります。
紙タバコより加熱式タバコ(iQOSなど)の方が「タール」の分量が少ないので、加熱式タバコを吸うことで付着する着色汚れの軽減ができます。有害物質の量が減るので口腔内のダメージも大きく変わります。だからといってタールが全く含まれていない訳ではないので、注意が必要です!
◆一酸化炭素
喫煙によって発生する一酸化炭素は、細胞組織へ酸素を届ける働きを阻害します。これにより酸素を届けるヘモグロビン濃度が低下し、お口の中が貧血状態になってしまうため、歯茎が黒ずみます。また歯周ポケット内の酸素濃度が下がり、歯周病の原因となる菌が繁殖しやすい環境となってしまいます。
喫煙していない方も、家族や友達などからの受動喫煙によって口腔内に影響が出る可能性があります。受動喫煙とは、タバコを吸う意志のない人がやむを得ず煙(副流煙)を吸ってしまうことを言います。
口腔内への影響として、歯周病や、小児の虫歯や歯ぐきのメラニン色素沈着のリスクが高くなることがわかっています。受動喫煙を防ぐためには、タバコの煙が流れてこない環境に身を置くことが第一です。また、タバコを吸う方が周囲に気を遣うことも非常に重要です。
以上、タバコがもたらすお口への影響について簡単にまとめてみました。
タバコはお口への悪影響のみではなく、全身への悪影響も多数報告されております。肺がんをはじめとする各種がん、狭心症・心筋梗塞などの心臓疾患、気管支炎・気管支喘息などの呼吸器疾患など、、、タバコはまさに百害あって一利なしなのです。ぜひこの機会に、禁煙にトライしてみるのはいかがでしょうか?
禁煙ができれば一番なのですが、禁煙ができない方は特に定期的なお口のクリーニング・歯周病検査・セルフケアが重要になります。
歯磨きは1日2~3回、フロス(糸ようじ)を1日1回行うことで口腔内に溜まったプラーク(歯垢)をきれいにし、健康な歯ぐきと強い歯を保ちましょう!
みなさんのお口の健康を支えられるよう、当院では一生懸命ケアをさせていただきます。しばらく歯科医院に行っていない方はぜひ、一度クリーニング・歯周病のチェックにいらして下さい!
港南台パーク歯科クリニック 歯科衛生士一同
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