2022/04/07
治療内容
根管治療及び前歯のブリッジのやり直し期間
2ヶ月治療回数
6回費用
ジルコニアクラウン3本 363,000円(税込)
患者様の主訴は『20年前に入れた前歯のブリッジを綺麗にしたい。歯茎にできものがある。』というものでした。こちらが治療前の写真です。
前歯には古いメタルボンドセラミックのブリッジが入っており、歯茎がやせて黒いつなぎ目が露出してしまっていました。色調も周囲の自分の歯に比べると、とても調和しているとは言えず、不自然なブリッジでした。
また、左上1番目の前歯の根の先の歯茎には赤いできものがあり、根が膿んでいることが予想されました。
①検査・古いブリッジの除去・根管治療
まずは、レントゲン写真及び歯周病の検査をして、前歯にあるできものの原因を調べました。歯周ポケットはなく、レントゲン写真で根の先端に病変を認めました。これは昔の根の治療がうまくいかなかった結果、根の中に住みついてしまった細菌による炎症性の病変です。歯医者でよく行われている根の治療(根管治療)で治癒させることができます。
次に、古いブリッジを除去して根管治療を行いました。マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いて根管内を徹底的に洗浄して、きれいにしました。
治療中は見た目の確保をするために、簡易的な仮歯を装着しました。
治療が奏功して、根の尖端のできものがほとんど消えているのが確認できます。(体は面白いものでして、原因をしっかり除去することで、治癒の反応を見せてくれます。)
②ファイバーコア・型取り・色合わせ
根の治療を無事終えたので、根の治療が終わった歯にファイバーコアを立てて、型取りを行いました。色合わせのために写真を何枚も撮り、より自分の歯に近いブリッジを目指しました。
※ファイバーコア(土台)は、歯根破折(歯の根が折れること)を防ぎ、また色も白いため、審美面でも大変優れた材料です。昔はメタルコアという金属の土台が使われていたのですが、歯根破折が起きてしまうことが多く、色も黒いため透けて被せ物が黒ずんでしまうということが多々ありました。
③セット・手入れの説明
ジルコニアセラミックブリッジが完成してきましたので、ボンドで装着しました。
写真を何枚も撮ったおかげで、技工士さんが患者様の歯にぴったりな色調のブリッジを作ってきてくれました。この綺麗な状態を長く維持するためには、セルフケア(ご自身での手入れ)が大変重要なので、衛生士より指導を行いました。
以前のブリッジとは比べ物にならないほど綺麗なブリッジが入り、患者様は大変満足されています。根の先端の病変も現在認めておらず、経過は良好です。
また、ジルコニアセラミックはプラークなどの汚れが非常につきにくい材料ですので、検診にいらしていただいた際もほとんど被せ物の周囲に汚れが付着しておりません。虫歯・歯周病・口臭などにも効果的です。
・予後を完全に保証するものではありません。
・ジルコニアセラミックは自由診療での治療となります。
・色合わせ(シェードテイキング)は大変難しく、一度で納得のいく色調が再現できないことがあります。その際は再度色合わせを行うケースがあります。
・根の尖端の病巣が再発した際は、歯根端切除術という外科処置で対応することがあります。
最初に入っていたメタルセラミックのブリッジは、昔は自由診療で行われていた被せ物です。セラミック治療なので、黄ばむことはなく色調は入れた当初の状態で維持されます。しかし、フレームに金属を使っているため、金属の黒い色を遮断するために、透明感のないのっぺりとした色調となってしまいます。また今回の症例ではほとんどありませんでしたが、メタルタトゥーと呼ばれる歯茎が黒ずんでしまうケースもよく見られます。
現在は新しい材料が開発され、白いジルコニアフレームにセラミックを盛ることで、透明感があり天然歯に限りなく近い色調を再現することが可能となりました。こうして改めて比較すると、歯科材料が大きく進歩していることを実感します。
メタルフリー修復(金属を用いない歯科治療)は金属アレルギーの心配がなく、見た目もよく、プラークなどの汚れも付着しにくいため非常に優れた材料です。ブリッジは歯がつながっていて汚れが非常にたまりやすいため、ブリッジをするのであればジルコニアを選択するのが望ましいかと思います。ただし、ジルコニアを入れたからといって虫歯にならない訳ではありません。歯のケアで一番大切なのはご自身での毎日の歯磨きです。
昔入れた差し歯が気になっている方、前歯のブリッジを検討している方がいらっしゃいましたら是非ご相談下さい。また、ご家族で今回と同じような状態でお悩みの方がおられましたら、是非この症例を見せてあげて下さい。
スタッフ一同、お問い合わせ、ご来院をお待ちしております。
港南台パーク歯科クリニック 院長 川又
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