歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?|歯科医師ブログ|港南台の歯医者 港南台パーク歯科クリニック

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歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?

港南台パーク歯科クリニック|ブログ|【症例】歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?|酸蝕症の前歯

 

 

こんにちは。港南台パーク歯科クリニック、歯科衛生士の大野です。

 

みなさまは「酸蝕症(さんしょくしょう)」という病気をご存じですか?

 

酸蝕症とは

 

酸蝕症とは、歯に、酸性の飲食物や胃酸が繰り返し触れることで起きる病気です。虫歯や歯周病に次ぐ「第3の歯科疾患」として注目されています。

 

虫歯と酸蝕症の違い

 

「虫歯」は細菌感染が原因です。プラーク(歯垢)にすむ虫歯菌が作り出す酸によって、歯が局所的に溶けはじめます。進行すると歯に穴が開き、痛みが出ることもあります。

 

一方「酸蝕症」は、細菌が原因ではありません。歯が酸に触れ続けることで、歯面全体が広範囲で溶け出します。進行すると象牙質がむき出しになり、知覚過敏が起きやすくなる病気です。

 

従来は、歯の2大疾患(虫歯・歯周病)の予防として歯磨きが第一でしたが、酸蝕症はきれいな口腔内でも発症する可能性があります

 

また、虫歯の場合は乳歯・永久歯交換期や歯根露出期など、発症しやすい年齢が挙げられます。しかし酸蝕症の場合、発症の原因は酸性飲食物の過剰摂取、薬剤、職場環境など多岐にわたるため、小さなお子様から高齢者の方まで、幅広い世代にリスクがあると言われています。

 

酸蝕症の歯の見た目

 

港南台パーク歯科クリニック|ブログ|【症例】歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?|酸蝕症の前歯

一見ツルっとしていますが、歯の表面のエナメル質が溶けて、薄くなっています。

 

港南台パーク歯科クリニック|ブログ|【症例】歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?|酸蝕症の下の歯

前歯だけでなく、奥歯のエナメル質も溶けています。

 

港南台パーク歯科クリニック|ブログ|【症例】歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?|酸蝕症の上の歯

銀歯との境目が溶けています。この状態だと銀歯が取れてしまう可能性があります。

 

酸蝕症の原因は?

 

酸蝕症の原因は、体の内側から口腔内に入る「内因性因子」と、体の外側から口腔内に入る「外因性因子」に分けられます。

 
内因性因子
 

近年、日本人のライフスタイルや食生活の変化に伴い、逆流性食道炎の増加が指摘されています。逆流性食道炎は、胃酸を含む胃の内容物が逆流して、食道に炎症が起きる病気です。

 

「歯が溶け始める」と言われる臨界pH(ペーハー/酸性かアルカリ性かを示す単位)は、pH5.5です。しかし胃酸のpHは1.0〜2.0と、強い酸性です。この胃酸が嘔吐物に混在して逆流することで歯が溶け出します。

 

逆流性食道炎の関連疾患として、胃食道逆流症(GERD)や摂食障害(拒食症・過食症)による持続性嘔吐が挙げられます。胃酸のpHは、後述する外因性因子(食事など)のpHより著しく強いため、歯の酸蝕レベルが重症化すると言われています。

 
外因性因子
 

職業性因子や非職業性因子に由来する酸が挙げられます。

 

かつてはメッキ工場などで働く人が、工場で発生する酸性ガスを吸引する「職業性因子」が主な原因でした。しかし現在では、酸性飲食物の過剰摂取や酸性薬剤(ビタミン剤)の服用による「非職業性因子」が主流と考えられています。

 

その中でも、私たちの生活にもっとも関係しているのが、酸性飲食物の過剰摂取です。

 

酸性飲食物は、食べ方・飲み方で酸蝕症を発症するリスクをグッと引き上げる恐れがあります。たとえば、デスクワークや運転、スポーツをしながらの“ダラダラ食べ・ちびちび飲み”、酸性飲料をため込むような飲み方や、口腔内で激しく移動させる飲み方は、発症リスクが高まります。酸性飲料が口腔内に拡散することで、酸蝕症がさらに進行する可能性があります。

 

また、柑橘系果実の食べ方にも気をつけましょう。前歯で直接かじったり、スライスした果実をなめ続けたりすると、酸蝕症のリスクを引き上げてしまいます。

 

しかし、酸性飲食物をまったく摂らないというのは非現実的です。では、どのように酸性飲食物を摂取して、口腔内をケアしていけばいいのでしょうか?

 

港南台パーク歯科クリニック|ブログ|【症例】歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?|ジュースのイメージ画像

 

歯に優しい、酸性飲食物の摂取方法は?

 

酸性飲食物の摂取は、決して悪いことではありません。しかし、以前のブログでもお話させていただきましたが、歯は酸によって溶けてしまいます。そのため、酸にさらされる時間が、酸蝕症に大いに関係してきます。

 

酸蝕症のリスクを下げる飲食物の摂取方法は、たとえば次のようなものがあります。

 

・ジュース類の酸性飲料はストローを使ってできる限り歯に触れないように飲む。

・栄養ドリンクであれば一気に飲み干してしまう。

・酒類は、よく噛まなければいけない食べ物(※)やアルカリ性食品(野菜・豆類など)と一緒にとる。

 

(※)よく噛むことで唾液が分泌され、酸性に傾いた口腔内を中性に戻せるため。この働きを「緩衝作用」と言います。

 

酸蝕症の予防や進行抑制の口腔ケア方法

 

基本的には、歯磨きやフロスによる口腔ケアが必須です。しかし、酸性飲食物を摂取した直後に歯磨きをすると、まだ歯が溶けている状態で歯を擦ってしまうことになるので、かえって歯が摩耗してしまいます。

 

ですから食事をした直後ではなく、唾液の緩衝作用によって口腔内が中性に戻ってから口腔ケアをするのが望ましいです。中性に戻るのは、酸性飲食物の摂取からおよそ30分後と言われています。

 

また、酸に触れて一時的にカルシウムやミネラルを失った歯に対して、CPP-ACP(※)配合ペーストを塗布してミネラルを補給したり、キシリトールガムを噛んで酸を作らずにしっかり唾液を出したりする方法もおすすめです。

 

(※)CPP-ACP:牛乳から分解して得られる天然由来成分とリン酸カルシウムからなる成分

 

港南台パーク歯科クリニック|ブログ|【症例】歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは?|キシリトールガムのイメージ画像

 

港南台パーク歯科クリニックでは、ミネラル補給に「MIペースト」の塗布ができます。また、クリニックの受付ではキシリトール100%配合のガムや、タブレットの販売もしております。ご希望の方は、スタッフまでお気軽にお声がけください。

 

 

こちらもご参照ください。

港南台パーク歯科クリニック|歯のクリーニング・予防

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