2021/11/11
, 歯のクリーニング・予防, 歯科の知識
こんにちは、港南台パーク歯科クリニック 歯科衛生士の岡本です。
今回は妊婦さんに関するお話をしたいと思います。
妊娠中はお口の中でもさまざまな変化が起こっているため、虫歯や歯周病が進行しやすいです。特に歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを高めるので注意が必要です!
しかし、つわりなどで満足に歯が磨けないときもありますよね。そのような場合のケア方法についても紹介していますので、参考にしていただければと思います。
まずは、妊娠中の体に起こる変化についてご説明します。
■歯茎が腫れやすくなる
歯周病菌の中には、女性ホルモンを好む細菌がいます。妊娠中はその細菌の動きが活発になるため、歯茎が炎症を起こしやすくなり、歯周病が進行する場合があります。
歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを高めるため注意が必要です。歯周病予防のためにも、妊娠中は妊娠前よりも丁寧な口腔ケアが必要です。
■唾液の量が減ったり、粘っこい唾液になったりする
唾液には、汚れを洗い流して殺菌してくれる作用や、歯を再石灰化したり、酸性になった口の中を中性に戻してくれる働きがあります。そのような作用によって、虫歯にならないように歯を守ってくれています。
しかし妊娠中は唾液の量が減ったり、粘っこい性状に変わることで、その唾液の作用が低下し、虫歯のリスクが高くなってしまいます。
■食の好みが変わる
妊娠中は、味覚にも変化が起こります。
味の濃いものが食べたくなったり、今まであまり食べていなかったものを食べたくなったりするなど、食事内容にも変化が出てきます。間食ばかりしてしまう、砂糖の入った飲料ばかり飲んでしまうなどの食習慣だと、虫歯のリスクがより高まるため注意が必要です。
■妊娠中は、虫歯と歯周病が進行しやすい時期
上記のような理由により、妊娠中は今まで以上に口の中の環境が悪くなりやすい時期です。そのため、自宅でのセルフケアがとても大切になってきます。
体調に問題がなければ、毎食後に歯磨きをするようにしましょう。寝る前にはフロスや歯間ブラシなども使用し、歯ブラシだけでは落としきれない、歯と歯の間の汚れもしっかり落としてくださいね!
左から:歯間ブラシ(3本)、フロス
■体調が悪い場合
体調の悪いときに、無理に歯を磨く必要はありません!タイミングにこだわらず、体調の良くなったときに磨くようにしましょう。
食後に磨けないときや、つわりで嘔吐してしまった後などは、お水で軽くうがいをするだけでも違います。
ただし、寝る前は可能な範囲で歯磨きをすることをおすすめします。寝ている間は唾液の分泌が抑制されるため、細菌が最も繁殖するタイミングです。虫歯や歯周病は寝ている間に進行していくので、短時間でも歯磨きをすると良いです。
■口の奥に歯ブラシを入れると気持ち悪くなってしまう場合
ヘッドの小さい歯ブラシを使うようにしましょう。
大人用の歯ブラシで磨くのが難しい場合は、子どもの仕上げ磨き用の歯ブラシや、毛束が一つだけのワンタフトタイプの歯ブラシなどを試してみてください。ワンタフトタイプの歯ブラシは、当クリニックでは「プラウト」という商品をご用意しております。
左から:子どもの仕上げ磨き用歯ブラシ、プラウト
問題なく磨ける箇所は大人用のブラシで、気持ち悪くなってしまう部分はワンタフトタイプのブラシで磨く、といったように使い分けをすると効率的に磨けます。
■「オエッ」と嘔吐(えず)いてしまったときの対処方法
歯ブラシを口の奥に入れすぎてしまい、オエッとなってしまったときは、よくうがいをしましょう。この時、口の中では粘り気のある特殊な唾液が分泌されています。 この唾液が喉の奥に入り込むことで、再び嘔吐(えず)く感覚が引き起こされてしまいます。
しっかりうがいをして唾液を洗い流し、落ち着いてから歯磨きを再開しましょう。
■歯磨き剤の味や触感が苦手になってしまった場合
歯磨き剤は、形状も味もさまざまな種類のものが販売されています。今まで使っていたものを苦手に感じてしまっても、他の製品を試してみると、無理なく歯を磨けるかもしれません。
特に、ペースト状の歯磨き剤には発泡剤が含まれていることが多く、歯を磨いたときに泡立ちが良くなる特徴があります。
口の中がアワアワになって気持ち悪くなりやすい場合は、一度に使う歯磨き剤の量を減らしたり、こまめにうがいをすることで磨きやすくなるかもしれません。発泡剤が含まれていない歯磨き剤も販売されているので、そちらを使用していただくのも良いと思います。ジェルタイプや液体タイプがおすすめです。
■洗口液やキシリトールガムも活用しよう!
歯磨きを行うのが難しい場合、歯を磨く代わりに洗口液を使って口をゆすいだり、キシリトールガムを噛むのも良いです。
洗口液は薬用効果により、水でうがいをするよりも口の中の細菌数を減らすことができます。フッ素配合の製品であれば、歯の再石灰化も促進されるので、虫歯の進行抑制にもつながります。
キシリトールガムは、「キシリトール成分が胎児に影響を及ぼすのでは?」と心配する方もいらっしゃるかもしれません。しかし影響はないので、通常どおり食べても問題ありません。キシリトールにも歯の再石灰化を促進する効果がありますし、ガムを噛むことで唾液を分泌させることができます。
さらに、お口の中もミントの香りでスッキリするのでおすすめです!
※キシリトールは、一度に多量に摂取すると下痢を引き起こすことがあるため、食べすぎには注意してください
左から:洗口液、キシリトールガム
以上が、ご自宅で実践できる口腔ケア方法です!
体調に問題がなければ、ぜひ妊娠期間中に歯科医院で検診や歯のクリーニングを受けましょう。お口の中を細部まで清掃できますし、どのような箇所に汚れが残りやすいか、どのように歯ブラシを当てたらよいかなど、患者様1人ひとりのお口の状態に合わせたお話をさせていただきます!
虫歯の治療も、妊娠安定期であれば体に配慮しながら行うことができるので、気になることがあれば港南台パーク歯科クリニックに、お気軽にご相談ください。
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